定期借家契約は何が違うのか?

「ていしゃく」などと略されて呼ばれるようになっているので、契約形態のひとつとして浸透しつつあるのではないかと思う定期借家契約

文字通り「期間を定めて家を貸す」ことが可能な賃貸借契約ですが、今までの契約と何が異なるのでしょうか?

普通賃貸借契約との違い

平成12年3月1日より施行されたこの制度は、従来の普通賃貸借契約では認められなかった「期間を定める」ということが可能となりました。

「でも、今までの契約も2年間ごとの契約でしょ?」と思う人も多いのではないでしょうか。

確かにその通りなのですが、今までの普通賃貸借契約は

「更新が出来る前提での2年間という期間」

なのであります。

非常に分かりづらいので、さらに噛み砕くと

「借主に重大な契約違反が無ければ、貸主から更新契約を拒むことが出来ない」という前提での期間なのです。

これにより従来の普通賃貸借契約では、貸主は「5年間だけ貸したい」という希望があっても、それが出来なかったのです。

もちろん、借主が合意の上で5年後に部屋を明け渡してくれれば、それは全く問題ありません。

しかし、単に契約書の期間を5年と定めて普通賃貸借契約を結び、いざ契約期間が終了する時になって借主が明け渡しを拒めば、借主に重大な契約違反がなければ、明け渡しを請求するのは非常に困難なのです。

この場合の重大な契約違反の代表的な例は「賃料の滞納」。

「重大な」とありますので「賃料をいつも1週間遅れて払う」程度の違反ではダメなのです。

2~3ヶ月程度の滞納ならば「重大」と解されると思います。

定期借家契約でも居座られたら?

一方、定期借家契約ならば予め5年間と定めておけば、前述した普通賃貸借契約の問題点が発生することなく、契約期間終了と同時に明け渡しをしてもらうことが可能となります。

ただし、定期借家契約でも期間終了時に借主側が居座った場合でも、貸主が自らの手で借主の荷物を外へ出すことは違法行為となります。

これは日本の法律には「自力救済の禁止」という根本的な考えがあるからです。

要は「相手が悪いからって勝手に人の荷物を出しちゃダメ。裁判所に訴えて正規の手続きを踏んでね。」ってことです。

正規の手続きとは「明け渡しの裁判」をして「強制執行」してもらうということ。

もちろん、この場合には普通賃貸借契約の場合とは異なり、裁判はスムーズに進み、明け渡しも認められるでしょう。

契約相手を見極める

最も重要なことは、普通賃貸借契約でも定期借家契約でも、契約相手を見極めるということ。

これには経験に勝るものはありません。

申込書の内容だけでは見えてこない「人格」「人間性」を見抜く目が必要です。

プロの不動産屋に最も求められる能力であります。